2026-27シーズンのサンアントニオ・スパーズは、「再建中の若手チーム」から「優勝を狙うチーム」へと立場を変えています。
ウェンバンヤマを中心に、フォックス、キャッスル、ハーパー、ヴァッセルらを擁し、さらに今オフにはトバイアス・ハリスも加入。
戦力だけを見れば、優勝候補の一角に挙げられても不思議ではありません。
ただ、「優勝候補」と「実際に優勝するチーム」の間には、まだ越えなければならない壁があると私は考えています。
昨季のスパーズはレギュラーシーズンで62勝20敗という素晴らしい成績を残しました。
だからこそ、今回は強いスパーズが、優勝するためには何を克服しなければならないのか?という視点で考えてみます。
今回考える3つの課題は「攻撃の型」「第2・第3の選択肢」「クラッチタイム」の3つです。
① ハーフコートオフェンスに「勝ち筋」を作れるか
最初の課題は、ハーフコートで相手に守られたときの攻撃の型です。
スパーズは決してオフェンスが弱いチームではありません。
ウェンバンヤマは2025-26シーズンに25.0得点、フォックス18.6得点、キャッスル16.7得点を記録しています。さらにハーパーもルーキーながら11.8得点を記録しました。
特に2025-26プレーオフではスパーズのトランジション比率は22.4%とリーグ最高の数字。問題は、相手に研究され、得意な攻撃を消されたときにどうするかです。
そこで鍵になるのが、
フォックス×ウェンバンヤマのP&Rだと思っています。
NBA.comのトラッキングデータによると、ウェンバンヤマがフォックスにスクリーンをかける形から、シュート・ターンオーバー・フリースローなどの直接的な結果につながったポゼッションでは、1ポゼッションあたり1.25PPPを記録。
※PPP(Points Per Possession)とは、1回の攻撃=1ポゼッションあたりに何点取ったかを表す指標です。数字が高いほど、その攻撃の得点効率が高いことを意味します。
これは、同様の直接的なスクリーンを100回以上記録した124組中3位という非常に高い数字です。
つまり、フォックス×ウェンバンヤマのP&Rは「これから作りたい武器」ではなく、すでにリーグトップクラスの効率を持つ武器。だからこそ、2026-27シーズンはこの形をさらに磨くことが重要だと考えています。
スクリーン後のアクションはポップ、ショートロール、ダイブの3種類が主になると思いますが、昨季は私が見ていた限り、ポップからの3Pの比率が最も高い印象でした。
「ポップ」だけではなく「ダイブ」も増やしたい
ウェンバンヤマは3Pを打てるため、スクリーン後のポップは非常に強力です。しかし、相手が最も恐れているのはウェンバンヤマがリング付近でプレーすることだと思います。
もちろんダイブの比率が高すぎれば、体力的にも厳しいのでバランスが大切です。相手がポップを警戒したところで、ウェンバンヤマがリングへ向かう「ダイブ」を増やすことで、守備側に別の判断を迫ることができます。
フォックスがスピードでペイントへ侵入。
ウェンバンヤマがリングへダイブ。
相手ビッグマンが下がればフォックスがフィニッシュ。
ヘルプが寄ればウェンバンヤマへのロブ。
さらにコーナーへキックアウト。
このように、一つのP&Rから複数の答えを出せる状態を作ることが重要だと思います。
スパーズに必要なのは、攻撃の「数」ではなく「判断の質」なのかもしれません。
新しい攻撃パターンを増やすことよりも、同じ型の中で相手の守り方を見極め、最適な選択をする。
それこそが、プレーオフで勝ち上がるために必要なオフェンスだと私は考えています。
② ウェンバンヤマを止められた後の「第2・第3の選択肢」
2つ目の課題は、ウェンバンヤマへの対策を相手が徹底してきたとき、誰が攻撃を引き継ぐのかです。
もちろん、ウェンバンヤマを中心にすること自体は問題ではありません。
NBA屈指の選手なので、彼を中心に攻撃するのは当然ですが、相手守備は必ず対策をしてきます。
そうなった時重要なのは、ウェンバンヤマだけに頼らないことです。
2025-26シーズンのレギュラーシーズンでは、ウェンバンヤマが25.0得点、フォックス18.6得点、キャッスル16.7得点。ハーパーも11.8得点を記録。
数字を見る限り、すでにスパーズには複数の得点源があります。そして興味深いのが、プレーオフでの1on1の数字です。
NBA.comのプレーオフデータでは、アイソレーションの得点効率はキャッスル1.07 PPP、フォックス1.02 PPP、ハーパー0.86 PPP、ウェンバンヤマ0.75 PPPでした。
だからこそ、ウェンバンヤマの1on1だけに頼るのではなく、フォックスやキャッスルの個人打開、ハーパーの成長を組み合わせる必要があります。
ウェンバンヤマ=最重要の起点
↓
フォックス=第2の個人打開役
↓
キャッスル=第3のハンドラー
↓
ハーパー=今後さらに役割拡大
というイメージです。
特にハーパーには大きな期待があります。
2025-26プレーオフでは、ハーパーのアイソレーションはまだフォックスやキャッスルほどの数字ではありませんが、2年目にどこまでこの数字を伸ばせるかが楽しみな部分です。
また、ハーパーはプレーオフのP&Rハンドラーでは1.12 PPPを記録しており、アイソレーションよりもP&Rを使った方が効率的だったというデータもあります。
つまり、ハーパーにはウェンバンヤマとのP&Rなど、構造のある攻撃の中で成長させる。
これがスパーズにとって重要だと思います。
そして、ここで8記事目でも取り上げたハリスが生きてきます。
ウェンバンヤマやキャッスル、ハーパーは相手の守備によって苦しくなるとターンオーバーが増えてしまいます。そこで、ハリスがミドルレンジやポスト、3Pで得点できれば、攻撃を落ち着かせることができます。
つまりハリスは「エースの代わり」ではなく、エースを止められたときの保険として重要なのです。
③ クラッチタイムに「再現できる攻撃」を作れるか
そして私が最も気になっているのが、試合終盤のクラッチオフェンスです。
残り5分。点差は3点。相手もスパーズの攻撃を完全に理解している。
この状況で、「最後はウェンバンヤマに任せる」だけで本当に優勝できるでしょうか?
私は、もう一段階の進化が必要だと思っています。
もちろんウェンバンヤマの1on1は強力です。ただ、プレーオフのアイソレーションでは0.75 PPPという数字も出ています。
だからこそ、
「ウェンバンヤマに最後を任せる」のではなく、「ウェンバンヤマが最後に最高の状態で攻められるようにする」
ことが重要です。例えば、
- P&Rやゴーストスクリーンからガード陣の引力を利用して攻めさせる
- オフボールでのスクリーンでコーナーから駆け上がりミスマッチを成立させる
- コーナー待機のウェンバンヤマの引力を利用して逆サイドからガード陣に攻めさせる。最後にウェンバンヤマがカッティング又はコーナー3Pでフィニッシュ
このように、1on1をさせるにしてもプロセスの工夫が必要ではないかと考えています。
これなら相手も「ウェンバンヤマだけを止めればいい」という守り方はできず、守備に迷いが生じます。少しのズレでもウェンバンヤマには大きなアドバンテージになる可能性があります。
私は、スパーズが優勝するために必要なのは、
「クラッチタイムに毎回違うプレーをすること」ではなく、「相手守備や状況により的確な攻撃を選択すること」だと思っています。
まとめ
2026-27シーズンのスパーズに「大きな弱点」があるとは、思っていません。
むしろ昨季62勝を挙げ、ファイナルまで進んだチームだからこそ、求められるレベルが上がったのだと思います。
優勝するために克服すべき課題は、
① ハーフコートオフェンスの型
② ウェンバンヤマを止められた後の第2・第3の選択肢
③ クラッチタイムの再現性
この3つ。一見すると別々の問題に見えます。しかし、実はすべてつながっています。「個人の能力をチームとしてどうつなげるか」という問題です。
そして、その答えを握っているのが、
ウェンバンヤマ、フォックス、キャッスル、ハーパー、そしてハリス
なのではないでしょうか。
昨季のスパーズは「強いチーム」になりました。
2026-27シーズンに目指すのは、その先。
「強い」から「勝ち切れる」チームへ。
この3つの課題をどこまで克服できるかが、スパーズの優勝を左右するポイントになると私は考えています。
🏀皆さんはスパーズが優勝するために、最も重要だと思う課題は何だと思いますか?
ぜひXやコメントで教えてください!
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